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物凄く壮大なネタバレ。

むしろ、これを軸にした小説を書くかもしれないとかそういうレベルのネタバレです。
でも書けないかもしれないし、これ以外思いつかなかったし! みたいな感じです。

それでもOK! ていう方はreadmoreからどうぞ。
お題はいつも通り輝く空に向日葵の愛を(http://nanos.jp/hiragi777/)様より。



 それは、ずいぶんと昔の記憶だった。まだ自分が人としての肉体を持っていた頃。世界には人が溢れ、アンドロイドとキメラ達が冷遇されていた時代。人が滅亡する、たった10年ほど前。そのときを表す言葉は多々あるが、平和であったということは間違いではなかった。人であった頃の、幸せな記憶。
 現在、砂漠に覆われているこの街は緑に溢れ、世界最高の生物研究所としての名声を響かせていた。街に住むのは研究者とその家族、そして彼らの所有するアンドロイド。そしておとぎ話に出てくる怪物を模したキメラがそこかしこに放たれていた。
「なあ、リリィ」
「なあに、ナヴィド」
「君は、この街が出来た時を知ってるか?」
 隣にいた彼女にそう聞くと、薄い色の髪が揺れた。
「あたしは、ここが出来て暫くしてから来たから、知らないの」
「じゃあ、この街が出来た意味、キメラ達がいた理由は?」
「それは……」
 リリィが視線をさまよわせた。彼女の情報源は客が話していた内容だから、話すのが躊躇われるのだろう。しかし、彼女は決したようだった。
「墓だ、っていうのは聞いたことがあるけれど」
「半分正解」
 墓、確かにそういう意味もある。だがそれは最初の意味ではない。教えて、とリリィが身を乗り出してきた。彼女の人格は人当たりがよく、好奇心旺盛な人物にセットされている。
「最初は、小さな王女様のための箱庭だったんだ」
「どういうこと?」
「まだ世界に人が溢れてた頃の話だ。ある科学者が、病弱な娘のためにおとぎ話の世界を作った。それが、ここだ」
 人類からすればちっぽけな、けれど少女にとっては巨大な異世界。それはどんなにか、あの本が好きだった少女を魅了したことだろう。わずかに瞬きをし、思いを馳せる。
 少女の死後、必要なくなったこの世界を残そうとしたのは人であった自分と、少女の父親、彼女を愛したすべてのもの達だった。彼女が死んだ後も、彼女のための楽園を守り続けるアンドロイドとキメラ達。
 祈りに満ちたこの世界はすばらしい、とナヴィドは思う。地下に眠る彼女に、この思いが伝わればいい、と願った。
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