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サイト 紫黒ノ華の更新情報、管理人 朔月の生態など。
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また間が空いてしまいましたごめんなさい。

でも暫く(7月いっぱいくらい)はちゃんと定期的に更新できると思います。
その後のことはまだ考えてません。
ただ、また週末お題に挑戦しようかなーとか無謀なことは考えてますごめんなさい。

とりあえず、今回のお題は「野晒しにされた花」で、お題元はいつも通り輝く空に向日葵の愛を(http://nanos.jp/hiragi777/)様です。

今回は魔王様のRPGよりフィネとゲオルク。

read more よりどうぞ。


 一人なの、と悲観するでもなく淡々と、彼女は言った。どこまでも透明なその色彩に心を奪われる。それを否定するかのように頭を振った。呑まれてはいけない。
「そうは、見えないけどね」
「そう?」
 遙か遠くを見つめていた目がゲオルクを捉える。そうしてやっと、息を吐く。透明な彼女には不安しか感じない。
「うん、オレには、フィネは一人には見えない」
 何たってオレがいるし? とおどけて言えば、フィネがくすくすと笑った。
「……ゲオルクは、優しいよね」
「今頃気づいた?」
 存外に優しく響いた言葉に、フィネが目を伏せる。沈黙が、どことなく居心地悪い。いつもなら、そんなことはないというのに。
「どうか、したの」
「……みんなが死んで、一年」
 命日なの、と小さく、蚊の鳴くような声で彼女は言った。
「どうして、私だけ生き残ってるんだろう。父さんだって母さんだって、ディーもギーも、私なんかよりよっぽど、生きててほしい人だったのに」
 そんなこと言うなよ、とは言えなかった。そんな軽い言葉で彼女の悲しみは癒せない。何も言わずに、そっと抱きしめる。胸にすっぽりと納まる体は意外と小さかった。それなのに涙を流していないことがゲオルクをも悲しくさせる。
「……いいんだよ、泣いて」
 結局、出てきたのはそんな陳腐な言葉でしかなかった。悔しいなあ、と唇をかみしめる。
 突然、そのからだが微かに震えた。どうした、と顔をのぞき込んだ。
「……ふっ、う、ごめ……」
 ぽろぽろと、涙がこぼれ落ちる。見てはいけないものを見た気がして、ゲオルクは慌てて腕に力を込めた。そのまま前方を見据える。
「……きっと、フィネだからだったんだよ」
「どういう、意味……?」
 しゃくりあげたまま、フィネが問う。ん、と迷うような声をあげた。
「フィネみたいな、優しい子だから、みんな生きててほしいと思ったんだよ」
「そんなこと、あたしは」
「フィネは優しいよ」
 言葉を途中で遮った。断定するように続ける。
「フィネは優しい。それに、いい子だ」
 暫く繰り返すと、フィネは何もいわなくなった。それでも構わずに言い続ける。
「優しいんだよ、フィネ」
「……うん、ありがと」
 もういいよ、とフィネが体を離した。素直に腕を解く。目は微かに腫れているがひどくはない。それに何より、微笑んでいた。
「ありがと、ゲオルク」
「……落ち、着いた?」
 うん、とフィネが笑う。その頬を、つう、と何かが伝った。
「あ、雨?」
 朝から曇り空だったのが、とうとう降り出したらしい。
「宿、戻ろうか」
 そう言いながら手を引く。きっと、彼女は何度でも立ち上がる。ふ、とわいてきた感情に笑みをこぼす。
 道ばたでは小さな花が雨に打たれながらそれでも上を向いていた。

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この二人はこんな感じの距離感です。
自分を責めがちなフィネと人がいいゲオルク。
RPGのほうに一物抱えてる系の人物はいませんが、それにしても人間側はお人よしばっかりです。
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