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一週間一お題シリーズ2段目。

お題元は、輝く空に向日葵の愛を(http://nanos.jp/hiragi777/)様より。

今回は、魔王様のRPGより、ヴァルデマール・ブライトクロイツと、フィネ・アダルベルトでお送りします。

readmoreよりどうぞ。

 薄暗い森の中、街道から外れた獣道をヴァルデマールとフィネはデュルヒシュニットへ向かっていた。先導するヴァルデマールが足元に生える雑草を切り払っていく。

「あ、フィネ」
「なに? デュルヒシュニットへなら、この道で合ってるよ」
「いえ、そうではなく。あれ、食べれますかね」

 長剣を鞘に戻してヴァルデマールが木の根元を指さす。ん、と目を凝らしてから、ゆっくりフィネは首を振った。

「駄目だね、あれ、花に毒あるやつだ。絶対に食べない」
「食べると、どうなるのです?」
「葉っぱとか茎とかで下痢、嘔吐。やばいと死んじゃう。花はもうそんな兆候とかなしに死んじゃうね」
「へえ。……残念です」

 微かに首を振ってまた長剣を抜く。ざっざ、と雑草を斬りながら歩き始めるとフィネが後ろからヴァン、と呼んだ。なんでも、ヴァルデマールと言う名は長くて呼びづらいらしい。実際、自分でも長いとはよく思う。

「はい、何ですか」
「最近さあ、よくあの草は食べられるかとか聞くじゃん。どうしたのかな、と思って」
「……それは、街道を外れて森に入ったからですが」
「それだけ?」
「ええ、まあ。野草はそれこそ毒があったりするので分かる人に見てもらわないと食べれないですし。……まあ、それでもどうしようもなく腹が減ってたら毒だろうとなんだろうと口に入れますけどね、私は」
「あれ、意外。王宮騎士だって聞いてたからなんか美食家? みたいなもんだと思ってた」

 不思議そうに言うフィネに、声を出して笑う。

「はは、私の家は貧乏だったので子供の頃はなんでも食べてましたよ。それこそ残飯だろうと雑草だろうとなんでもね。ただ、母親がそんな私を見かねまして。王宮の貧民救済所に行ったり……それに、騎士といっても兵士ですから、貴族の大将軍でもない限り美食家なんて人はいないですよ」

 へえ、とフィネが息を漏らす。それに、と言葉を重ねた。

「今は王の命もありますし、死ねません」
「……ああ、そっか、そうだね」

 うん、とフィネが頷いた。そういえば、何故この少女を旅の連れにしようと思ったのだったか。きっと彼女と最後まで共に旅をすることはない。それでも共に来ないかと誘ったのは、生き抜く知恵が欲しいなどではなく、きっと、何となく、なのだ。ああ、これは帰ったらまた先輩に笑われるな、とヴァルデマールは苦笑した。

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お、今回はちょっと長いぞ。お題式はいいですね、話が思いつきやすいです。
次回は、このシリーズで「禁忌を犯す花」
お題はいいです、本当に。
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